Mori-Ôgai-Gedenkstätte Berlin / ベルリン森鷗外記念館・ベアーテ・ヴォンデ

ベルリン王宮の上棟式

大きな工事現場・ベルリンからの最新情報 — ベルリン王宮の上棟式—

不思議なことに、鴎外は『舞姫』の中でも『独逸日記』の中でもベルリン王宮について直接的に言及することは一度もありませんでした。当時のベルリン王宮は、ブランデンブルク門から始まる大通りウンテル・デン・リンデンが終着する、ベルリンの象徴的な存在だったのにもかかわらずです。そこから鴎外の下宿先クロステル通りへ行くには、ベルリン王宮のすぐ隣のケーニッヒ通りを越えるという遠回りをしなければなりませんでした。少なくとも『舞姫』の作中において、太田豊太郎は王宮の側の喫茶店へ通うのが日課だったようです。

朝の珈琲果つれば、彼は温習に往き、さらぬ日には家に留まりて、余はキョオニヒ街の間口せまく奥行きのみいと長き休息所に赴き、あらゆる新聞を読み、鉛筆取り出でてかれこれと材料を集む。

ベルリン王宮は第二次世界大戦中の爆撃により破壊され、その残りも東ドイツ時代に爆破されてしまいました。長い間、王宮の再築を目指す者と、反対者の間で議論が続きましたが、2002年にはドイツ連邦議会によって王宮の再築が決定されました。定礎からほぼ二年経った今年の6月12日には、王宮の上棟式が、ダニエル・バレンボイム指揮による国立管弦楽団のコンサートとともに祝われました。それに続く週末には王宮の建設中の骨組みがベルリンの市民や観光者たちのために開放されました。(写真はこの時のものです)
今から四年後の2019年9月14日、アレクサンダー・フォン・フンボルトの生誕250周年の日には、旧プロイセン・ベルリン王宮の跡地に再建されているこの建物が「フンボルト・フォーラム」という新しい名を持って開かれる予定です。特に、ダーレムにあるアジア民俗学博物館の収蔵物や、フンボルト大学のコレクションがここには収蔵され、また鴎外がベルリンで会ったルドルフ・フィルヒォウのコレクションを含む科学博物館も新設される予定です。それに加え、中央・州立図書館、カフェ等、ベルリンの中心にあり人々の集合所にふさわしい様々なものが収められる予定です。フンボルト・フォーラムの正面の広場には、ネプチューン噴水が戻される予定ですが、広場の使い方についてはまだ多くが議論されている段階です。
この工事現場の前に位置する「フンボルト・ボックス」では、フンボルト・フォーラムに関する計画や情報を詳しく知ることができます。また、何と言ってもそこからはウンテル・デン・リンデンや博物館島を見渡す美しい眺めが楽しめます。最近ではフンボルト・ボックスの入館料が無料になりました。

ベアーテ•ヴォンデ

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Fotos: Beate Wonde


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